ハラスメントには様々な種類があります。以下に順に紹介していきます。
①セクシュアル・ハラスメント
性的な言動を含むいじめのことです。具体的には、職場にヌードや水着のカレンダーを飾る、休憩時間に人目に触れる場所で成人雑誌を読む、性的な噂話やジョークを言うなどの環境型と呼ばれるものや、従わなければ成績を下げるとかボーナスの査定を下げるなど、学校生活や仕事上での不利益を与えると脅したうえで性的に誘ったり、身体に触れるなどの対価型と呼ばれるものがあります。
どちらの型にも含まれないセクハラもあれば、両方の型の特徴を兼ねそなえているケースもあります。
また、直接触れたり誘ったりしなくても、恋人の有無を聞く、性生活について尋ねる、「結婚しないの？」「子どもはまだ？」と詮索するなども、セクハラとなり得ます。
②パワー・ハラスメント
上下関係を利用し、権力を振りかざして立場が下の人をいじめるものです。具体的には、大勢の前で叱責する、「辞めろ」「死ね」などの暴言、仕事を与えない、無視などもパワハラの一例です。
③モラル・ハラスメント
精神的ないじめのことです。家庭内や比較的小規模の職場や大学のゼミなどでよく起こります。相手の些細な言動にもいちいち難癖をつけ、その行動そのものではなく人格を否定するようなことを言ったり、悪い噂を流したりして、周囲から孤立させたり、精神的に支配しようとするものです。
モラル・ハラスメントの加害者は、被害者以外には良い面しか見せないことも多いため、被害が周囲に気づかれにくく、深刻化しやすい側面があります。
④ジェンダー・ハラスメント
性別に関するいじめです。女性であることを理由に責任あるポストに就かせない、「男なんだからこれくらいやれ！」ときつい仕事を押し付けたり弱音を吐くことを非難する、女性だけがお酌をしなければならない雰囲気の飲み会などが具体的な例です。
⑤アカデミック・ハラスメント
大学や大学院などでの専門的教育にまつわるいじめです。教授と学生、教授と准教授などの関係性の元に起こりがちです。必要な実験道具や指導を与えない、理不尽に低い成績をつける、本来の研究や業務に関係ない雑用をさせるなどがその具体例です。
⑥アルコール・ハラスメント
お酒にまつわるいじめです。具体的には、大学生の新歓コンパや職場の宴席にてイッキ飲みを強要する、お酒が飲めない体質の人にも飲むことを執拗に勧める、酔っぱらって迷惑な行動をするなどです。
⑦マタニティ・ハラスメント
比較的新しい概念で、妊娠出産にまつわるいじめです。妊娠した女性を理不尽に降格させる、退職を促すなど仕事上の不利益を与えたり、つわりなどの妊娠に関わる体調不良を「甘えだ」と断じたり、妊娠によって生じた身体の変化をからかったりするものです。
これらの各種ハラスメントは必ずどれかひとつに分類されるものではなく、重複しているケースも多々あります。ハラスメントは上下関係を利用して起こることが多いため、特にパワハラはすべてのハラスメントのベースにあるといっても過言ではありません。