何でもセクハラって言われそうで何も言えない…という人へ

ハラスメントかどうかを判断するのは、された本人が不快に思うかどうかです。同じ言葉や行動でもする人・される人によってハラスメントだったり、そうでなかったりするわけです。こう聞くと、悪気なく言ったことでもハラスメントだって騒がれたら困るし、何も言えなくなってしまいそう…と感じる人も多いようです。

でも心配しなくても大丈夫です。一般的な常識や思いやりを持ってさえいれば、知らず知らずのうちにハラスメント加害者になるなんてことはまずあり得ません。それでも心配という人のために、ここでは、いつの間にか加害者になってしまうことなく、かつ過剰に気を使いすぎることもなく人間関係を円滑に保つコツをお話します。

ハラスメントのもうひとつの大きな特徴は、継続的に繰り返されることです。不適切な発言や行動があっても、それが1回だけなら人間誰しもある間違いであり、ただちにハラスメントだということにはなりません。しかし、この1回だけにとどまらず、何度も繰り返してしまい、相手の不快感がどんどん溜まっていってしまうと、ハラスメントになってしまいます。

したがって、最初の1回のときに、この言動が繰り返されるとハラスメントになり得る不適切なものであるということに気づいて、それ以上しないようにすればよいわけです。

自分がされて嫌なことなら、まともな人なら普段から他人にもしないようにしているでしょう。でも、何を嫌だと思うかは人によって大きく違います。相手が嫌だと思うことでも自分が平気なことなら、悪気なく言ったりやったりしてしまうことは、きっと誰にでもあります。このような悪気ない発言や行動を自ら不適切だったと気づくのは、思いのほか難しいものです。

ここでハラスメントにならないよう、繰り返さないようにするためには、普段から不快なことは伝え合える関係を築いていることがとても大切です。

ハラスメントは上下関係のもとに起こりやすいので、自分が上の立場に立っている相手に対して、何か思うところがあったら何でも遠慮なく言ってほしいと普段から伝えておくと良いです。そうはいっても、弱い立場の人としてはなかなか言いづらいでしょうから、相手の表情や言葉をよく見聞きして、内心嫌がっているけど言えないのではないかという自問や反省は常日頃から必要でしょう。

もし不快だと伝えられたときは、素直に謝罪し、繰り返さないようにします。これは当たり前なのですが、意外とできない人が多いのが現状です。なにしろ、自分は悪気なく言ったりやったりしたことですから、バツの悪さもあって「そんなこといちいち気にしなくても…」と相手の受け止め方を責めたくなるのは人情です。

しかし、そこで改善すれば相手からの信頼感を得られますし、これからもお互いに何かあったら伝え合えばいいんだと学習してもらえますから、コミュニケーションが円滑になり、仕事や学習の能率も上がります。なによりいつの間にか加害者になってしまう危険性もなくなります。これがハラスメントのない環境づくりの大きなポイントです。

ハラスメントとして問題になってしまってから、合意だと思っていたと言う加害者が少なくありません。特にセクハラでは被害者が「やめてくださいよ~」と言っても、そのとき笑顔だったりすると、実は喜んでいると勘違いする加害者は多いです。被害者としてはきっぱりと拒絶すると報復が怖いので、笑顔で「やめて」と言うのが精一杯なのですが、加害者は「嫌よ嫌よも好きのうち」と幸せな思い違いをしてしまいます。弱い立場からは言いづらいことを自覚し、上の立場の人間が無駄な思い込みを捨てるべきです。