加害者=男、被害者=女とは限らない!誰も他人事ではないのです

ハラスメントといえば、最初に登場したのがセクシュアル・ハラスメントだったこともあり、加害者は男性で被害者が女性という図式が頭に浮かぶ人もまだまだ多いようです。

しかし、セクハラでも女性が加害者になることだってあるのです。実際に女性上司が加害者で男性部下へのセクハラで訴訟になったケースもありました。

さらには、男性から男性へのセクハラもありますし、女性同士のセクハラもあります。セクハラにおいては男性が加害者になることが多いのは事実ですが、男性だからといって被害に遭うことはないと安心してしまうのは早計です。また、女性だからと言って加害者になる危険性を全く考えないのも現実的ではありません。

セクハラでいえば、継続的に繰り返された性的な言動で相手が不快に思うものがその定義なので、よく考えてみれば男性であろうが女性であろうが、加害者にも被害者にもなり得るのは当然のことですね。特に女性が思わぬ形で加害者になりやすいよくあるパターンとして、会社の休憩室や給湯室で社内の人間の恋愛事情や性的な噂話をするというものです。これもされた方が気にしない人ならよいのですが、そうではない場合、悪質だと大きな問題に発展しかねないので、仕事に関係のない話は退社後にするようにしましょう。

セクハラ以外のハラスメントでは、加害者=男性、被害者=女性という図式が必ずしも正しくないというのは、比較的理解しやすいでしょう。特にパワハラは、男性が被害者になることもよくあります。日本社会では男性は強くあるべきものというステレオタイプがいまだにまかり通っている部分があるので、男性には厳しい指導をしてもいいと勘違いしている人も少なくないため、指導が行き過ぎてしまい、男性がパワハラ被害に遭いやすいという側面もあるでしょう。

ハラスメントの中で一番新しい概念のマタニティ・ハラスメントでは、妊娠するのは女性に限られているため、被害者は女性ということになります。しかし、マタハラの加害者は男性も女性もなり得ます。むしろ意外にも、女性の加害者が多いようです。

妊娠というのはしてみないと自分でもどんな体調の変化が起こるのか分からない上に、同じ人でも一人目の妊娠と二人目の妊娠で全然違う変化が起こったりします。人によってはつわりもまったくなく、臨月間近まで問題なく働けたということもあるので、そういう女性がつわりのひどい部下に対してその大変さが理解できず「つわりなんて気の持ちようだよ」などと言ってしまうことはよくあります。こういった発言も、言われた方は傷つくものなので、場合によってはマタハラになってしまいます。

このように、どのタイプのハラスメントにしても、男性だからもしくは女性だから無関係だなんてことはないのです。マタハラの例だと分かりやすいかと思いますが、自分の経験や価値観を基準にしてしまうとハラスメントにつながる言動が出やすいものです。感じ方は人それぞれという視点を忘れず、気持ち良い人間関係を作っていきたいですね。