命の危険も!意外と知られていないアルコール・ハラスメント

アルコール・ハラスメントという言葉を知っていますか?セクハラやパワハラと比べると言葉の知名度は低いようですが、深刻さとしては非常に重い種類のハラスメントです。なぜなら、ハラスメントの中で唯一、直接的な命の危険が伴うものだからです。

アルコール・ハラスメント(以下アルハラ)は、文字通りアルコールにまつわるいじめのことです。お酒の席でのハラスメント全般を指します。

アルハラの中でもっとも避けなければならないものは、アルハラによる死です。しかし非常に残念なことに、命を落としてしまう事例が少なくありませんでした。大学のサークルの新入生歓迎コンパでイッキ飲みを強要し、急性アルコール中毒によって死亡させてしまった事件が過去にいくつもあったことを覚えている方もいることと思います。

そもそも大学に現役で入学していればほとんどの人は18歳ですから、まだお酒の飲めない未成年です。浪人して入学した人や先輩たちはもちろん飲んでもよいのですが、未成年の新入生にお酒を飲ませるという行為は犯罪です。ましてやイッキ飲みさせる、もしくはイッキ飲みしないとシラケるから飲まざるを得ないという気持ちにさせるような雰囲気を意図的に作るというのは、非常に悪質な行為です。

悲しいことにアルハラで亡くなってしまった人の遺族や大学が中心となって、このような悲劇が繰り返されないように啓蒙が進められてきました。新入生対象のオリエンテーションやサークルの責任者を対象にした研修などでアルハラについての教育がなされる学校が増え、命まで落としてしまうケースは減少しつつあるようです。

しかし、それ以外のアルハラはまだまだ多いのが現状です。上記のような大学のサークルの例で言うと、女子生徒を意図的に酔いつぶし、性的暴行を加えるというこれまた悪質な犯罪も見受けられます。このようなケースではやはり女性が被害者になることが圧倒的に多いので、加害者が悪いのは間違いないのですが、女性側も自衛が必要です。

このような明らかに犯罪と言えるほど酷いもののほかにも、いろいろな種類のアルハラがあります。酔っぱらって身体にベタベタ触ったり、性的な質問や卑猥な言葉を発したり、服を脱ぐ、暴れる、怒鳴るというようなものも、同席者が不快に思うならば立派なアルハラです。

お酒の席は本来楽しいもののはずです。不快な言動があっても、嫌がったりすると場が盛り下がってしまうかな…と考えて、嫌だと言えず楽しんでいるフリをする人も多いでしょう。既に別の記事で書きましたが、職場の飲み会の場合は、二次会までは仕事と捉えられています。したがって、上下関係の上の立場にいる人が、それ以外の人が不快な思いをしていないかに気を配ることが望ましいです。

飲み会は使い方によっては人間関係を円滑にするためのとても有効な装置となります。アルハラを撲滅して、明日からより楽しく生活できるための活力になるような場を目指しましょう。

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加害者=男、被害者=女とは限らない!誰も他人事ではないのです

ハラスメントといえば、最初に登場したのがセクシュアル・ハラスメントだったこともあり、加害者は男性で被害者が女性という図式が頭に浮かぶ人もまだまだ多いようです。

しかし、セクハラでも女性が加害者になることだってあるのです。実際に女性上司が加害者で男性部下へのセクハラで訴訟になったケースもありました。

さらには、男性から男性へのセクハラもありますし、女性同士のセクハラもあります。セクハラにおいては男性が加害者になることが多いのは事実ですが、男性だからといって被害に遭うことはないと安心してしまうのは早計です。また、女性だからと言って加害者になる危険性を全く考えないのも現実的ではありません。

セクハラでいえば、継続的に繰り返された性的な言動で相手が不快に思うものがその定義なので、よく考えてみれば男性であろうが女性であろうが、加害者にも被害者にもなり得るのは当然のことですね。特に女性が思わぬ形で加害者になりやすいよくあるパターンとして、会社の休憩室や給湯室で社内の人間の恋愛事情や性的な噂話をするというものです。これもされた方が気にしない人ならよいのですが、そうではない場合、悪質だと大きな問題に発展しかねないので、仕事に関係のない話は退社後にするようにしましょう。

セクハラ以外のハラスメントでは、加害者=男性、被害者=女性という図式が必ずしも正しくないというのは、比較的理解しやすいでしょう。特にパワハラは、男性が被害者になることもよくあります。日本社会では男性は強くあるべきものというステレオタイプがいまだにまかり通っている部分があるので、男性には厳しい指導をしてもいいと勘違いしている人も少なくないため、指導が行き過ぎてしまい、男性がパワハラ被害に遭いやすいという側面もあるでしょう。

ハラスメントの中で一番新しい概念のマタニティ・ハラスメントでは、妊娠するのは女性に限られているため、被害者は女性ということになります。しかし、マタハラの加害者は男性も女性もなり得ます。むしろ意外にも、女性の加害者が多いようです。

妊娠というのはしてみないと自分でもどんな体調の変化が起こるのか分からない上に、同じ人でも一人目の妊娠と二人目の妊娠で全然違う変化が起こったりします。人によってはつわりもまったくなく、臨月間近まで問題なく働けたということもあるので、そういう女性がつわりのひどい部下に対してその大変さが理解できず「つわりなんて気の持ちようだよ」などと言ってしまうことはよくあります。こういった発言も、言われた方は傷つくものなので、場合によってはマタハラになってしまいます。

このように、どのタイプのハラスメントにしても、男性だからもしくは女性だから無関係だなんてことはないのです。マタハラの例だと分かりやすいかと思いますが、自分の経験や価値観を基準にしてしまうとハラスメントにつながる言動が出やすいものです。感じ方は人それぞれという視点を忘れず、気持ち良い人間関係を作っていきたいですね。

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何でもセクハラって言われそうで何も言えない…という人へ

ハラスメントかどうかを判断するのは、された本人が不快に思うかどうかです。同じ言葉や行動でもする人・される人によってハラスメントだったり、そうでなかったりするわけです。こう聞くと、悪気なく言ったことでもハラスメントだって騒がれたら困るし、何も言えなくなってしまいそう…と感じる人も多いようです。

でも心配しなくても大丈夫です。一般的な常識や思いやりを持ってさえいれば、知らず知らずのうちにハラスメント加害者になるなんてことはまずあり得ません。それでも心配という人のために、ここでは、いつの間にか加害者になってしまうことなく、かつ過剰に気を使いすぎることもなく人間関係を円滑に保つコツをお話します。

ハラスメントのもうひとつの大きな特徴は、継続的に繰り返されることです。不適切な発言や行動があっても、それが1回だけなら人間誰しもある間違いであり、ただちにハラスメントだということにはなりません。しかし、この1回だけにとどまらず、何度も繰り返してしまい、相手の不快感がどんどん溜まっていってしまうと、ハラスメントになってしまいます。

したがって、最初の1回のときに、この言動が繰り返されるとハラスメントになり得る不適切なものであるということに気づいて、それ以上しないようにすればよいわけです。

自分がされて嫌なことなら、まともな人なら普段から他人にもしないようにしているでしょう。でも、何を嫌だと思うかは人によって大きく違います。相手が嫌だと思うことでも自分が平気なことなら、悪気なく言ったりやったりしてしまうことは、きっと誰にでもあります。このような悪気ない発言や行動を自ら不適切だったと気づくのは、思いのほか難しいものです。

ここでハラスメントにならないよう、繰り返さないようにするためには、普段から不快なことは伝え合える関係を築いていることがとても大切です。

ハラスメントは上下関係のもとに起こりやすいので、自分が上の立場に立っている相手に対して、何か思うところがあったら何でも遠慮なく言ってほしいと普段から伝えておくと良いです。そうはいっても、弱い立場の人としてはなかなか言いづらいでしょうから、相手の表情や言葉をよく見聞きして、内心嫌がっているけど言えないのではないかという自問や反省は常日頃から必要でしょう。

もし不快だと伝えられたときは、素直に謝罪し、繰り返さないようにします。これは当たり前なのですが、意外とできない人が多いのが現状です。なにしろ、自分は悪気なく言ったりやったりしたことですから、バツの悪さもあって「そんなこといちいち気にしなくても…」と相手の受け止め方を責めたくなるのは人情です。

しかし、そこで改善すれば相手からの信頼感を得られますし、これからもお互いに何かあったら伝え合えばいいんだと学習してもらえますから、コミュニケーションが円滑になり、仕事や学習の能率も上がります。なによりいつの間にか加害者になってしまう危険性もなくなります。これがハラスメントのない環境づくりの大きなポイントです。

ハラスメントとして問題になってしまってから、合意だと思っていたと言う加害者が少なくありません。特にセクハラでは被害者が「やめてくださいよ~」と言っても、そのとき笑顔だったりすると、実は喜んでいると勘違いする加害者は多いです。被害者としてはきっぱりと拒絶すると報復が怖いので、笑顔で「やめて」と言うのが精一杯なのですが、加害者は「嫌よ嫌よも好きのうち」と幸せな思い違いをしてしまいます。弱い立場からは言いづらいことを自覚し、上の立場の人間が無駄な思い込みを捨てるべきです。

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私がされていることはハラスメントになるの?判断に迷うときは…

セクハラやパワハラってよく聞くけど、私がされてることってそれに該当するのかな?それとも私が大げさに受け取りすぎているだけ?と思い悩む人もいることと思います。自分が受けている言動がハラスメントなのかどうか判断に迷うときには、自分の胸に聞いてみましょう。

まず相手の言葉や態度、そのときの場所や状況などを思い起こし、できれば文にして書いてみてください。そのうえで、その言動を受けたとき、どう感じたかを思い出して書いていきます。書くのが負担なのであれば、心の中で思うだけでも良いですが、日付まで含めて書いておくと、今後もし関係機関に訴えることになった時に記録として提出できるので一石二鳥です。

その時に感じたことが、たとえば「なんとも思わなかった」「性的な言葉だったけどジョークだと思って笑ってしまった」というように、あなた自身の心がネガティブに受け止めていないなら、ハラスメントではありません。ただし、あなたがなんとも思わなかった同じ人の同じ言動でも、相手によっては傷ついたり不快に思ったりすることもあります。その場合、その相手にとってはハラスメントとなり得ます。ここは大切なポイントです。

その言動によって感じたことが、たとえば「気持ち悪かった」「恥ずかしかった」「屈辱的だった」などというように不快な感情だったのなら、それはハラスメントなのです。

同じ言葉や行動が相手によってハラスメントだったり、ハラスメントではなかったりするのはなぜなのでしょう。それは、ハラスメントの定義が「受け取る側が不快に感じること」だからです。非常に主観的な定義なので、混乱する人がいても仕方ないかもしれませんが、ある意味当たり前のことです。

自分以外の人はすべて、自分とは違う感じ方や価値観を持った人間です。そして、自分以外の人とさらにそれ以外の人との関係は、自分とその人たちとの関係とはまったく別の関係です。ややこしいですが、そのことを前提に考えると、ハラスメントというものが理解しやすくなります。

つまり、ごく単純に言えば、普段から仲が良くて信頼している上司から「結婚はまだ?」と聞かれれば、「心配してくれてるのかな」と好意的に受け止められますが、元々苦手な上司から同じことを聞かれたら「余計なお世話!」と不快に思いますよね。

また、あなたが信頼している上司でも、あなたの同僚はその上司を嫌っていたとして、同僚がその上司に「『結婚はまだ?』と聞かれてムカついた!」と言っていても、その感じ方を責めるのは間違っているかもしれません。

したがって、あなたがやられていることを思い返してみて不快だとか傷ついたと感じた場合は、ハラスメントを受けているのだと考えて大丈夫ということです。こんなことでハラスメントだとか言うのは間違ってるんじゃないかとか、私の器が小さいんじゃないかということは、とりあえず考えなくても大丈夫です。

そして、自分自身では対処できないと思えるほどにハラスメントがひどくなったり、心身に不調がでてきてしまう前に、できればどこかへ相談してほしいと思います。本当にハラスメントかどうか自信がなくても、相談機関で一緒に考えてもらえることと思います。別のページで相談窓口も紹介していますので、参考にしてください。

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